熊野権現さまと鬼の石段 ねんど日本昔ばなし 豊後高田市


田染の里に赤鬼がやってきて、人間を食べるという。

それを聞いた熊野の権現さまは、「夜明けまでに百の石段を積めたなら、村人を食べる事を許そう。出来なければ、逆にわしがお前を喰い殺してやるぞ」と約束させた。

赤鬼は、ひょいひょいと石を担いで、見る見るうちに99段を築いた・・。

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驚いた権現さまは、百段目の石を担いだ赤鬼の足が山かげに見えた時「コケコッコー!」と、鶏の鳴き声を真似した。

赤鬼は「負けたあ!」と最後の石を担いだまま逃げ出していった。

赤鬼は一里半ほど走って平地に出て、石を放り出すと、石が立って倒れない。ここが山鹿の立石という地名になった。

赤鬼はそのまま倒れて息絶えたという。

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 「田染荘(たしぶのしょう)」

国東半島・田染の里の荘園。

743年の墾田永年私財法の成立により開墾された、宇佐神宮の荘園のひとつ。

千数百年前~平安~鎌倉時代の集落や、水田の位置は現在もほとんど変わらずに、中世荘園村落の姿が受け継がれている。

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「熊野摩崖仏」

鬼の伝承の石段を登りきる手前に巨大な不動明王と、大日如来像が刻まれている。

平安時代後期の、日本最古・最大級の磨崖仏。

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昔話に登場は赤鬼1匹ですが、青鬼も作ってみました。

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ねんどの素材について

2015年の中頃まで「モデルマジック」という澱粉粘土を使用していました。

アメリカのクレヨンのクレヨラ社の子供用ねんどで、ひとつ前の投稿の「おでかけぺるりさん」が、2009年にモデルマジックで作ったものです。

とても使いやすく性能の良い粘土で、モデルマジックがあったから自分なりの人形作りを覚えられたといえるのですが、残念なことに2006年頃に中国のセルロイドの玩具から毒が出た影響で日本での玩具の輸入規制が厳しくなり、国内販売がなくなりました。

試行錯誤の末に、2015年夏にダイソーから出た樹脂粘土が最もモデルマジックに近い性能だと分かり、現在の常用粘土(※)となりました。この赤鬼と青鬼が、樹脂粘土での最初の作品です。

(※)常用粘土といっても、ひとつの粘土で万能なわけでもなく、今回の鬼っ子の場合は「ハーティクレイ」という軽量粘土を混ぜて少しでもモデルマジックの使用感に近づけています。

またモデルマジックも初心者向けには使いやすい最高の粘土ですが、仕上がりがそれほど丈夫ではない弱点があります。

「おでかけぺるりさん」の鼻が飛んで行って撮影終了になったのが脆さの一例です。仕上がりの丈夫さでは樹脂粘土に圧倒的に軍配が上がり、樹脂粘土のお陰で「首や手が可動してポーズをつけられる人形」が作れるようになりました。

今のところ、ダイソー樹脂粘土と、良い状態のモデルマジック(※※)を混ぜたものが、自分的に最高の粘土素材です。

(※※)2021年現在、モデルマジックはようやくアマゾンで手に入るようになっていたので、6年ぶりに入手しました。が、以前から若干は見られた「ロットによる品質のバラつき」が大きくなっている様でもあり(さすがアメリカ製・・)、他人様にお勧めするのはちょっと辛い感じでしたかね。子供向けのねんど教室をやるには、本当に最高の素材なのだけどなあ・・。

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自然光での人形撮影~木漏れ日を活かす


物語の伝承地を背景に、お話に登場のキャラクターを撮影する時、通常の風景写真撮影とはまた違った光の選び方をしたりします。

石段をロケハンしながら登っていて、絶好のポイントが見つかりました。人形が置ける場所は、「日なたのギリギリ日陰」で、且つ「木漏れ日」が当たっています。

「日なたのギリギリ日陰」は、きつい直射日光を避けられて尚且つモロに日陰でないので明るさもある程度確保できる。そして「木漏れ日」が差していることで、光にある程度の「芯」が出来ます。そして最も暗い部分(アゴの下など)をレフ版で補えば(目玉にもハイライトが入りました)、綺麗な人形ライティングの出来上がりです。

また人形のある場所が暗く、奥側ぼかし部分にに木漏れ日があることで、画面全体に微妙なグラデーションを演出し、主役の人形があるシャドウ部に視線誘導できます。右下の木漏れ日も、視線誘導に役立ってくれています。

木漏れ日はよく使いますが、30秒単位で位置を変えてしまうので、一期一会の写真が出来ました。

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自然光での人形撮影~レフ版を使う


レフ版は、通常特に目的がない場合は人物(人形)よりも上側から当てるようにしています。

下からは「お化けライト」と呼ばれますが、今回は鬼っ子が驚いてビビっている場面に合わせてお化けライトを使用。完全に真下からではなく、左下から人形にグラデーションをつけて立体感が出るようにしています。

また人形は「日なたのギリギリ日陰」に置いて、ほんの僅かに後頭部や手のひらと頬っぺたに日光を当て、レフ版が当たっていない右側シャドウ部に立体感をつけ、またラインライトにして背景のシャドウ部と分離させています。

光を選び工夫すると、撮影はとても楽しいですよ。

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使用カメラ
FUJIFILM S5Pro
AI AF-S Zoom-Nikkor 17-35mm f/2.8D IF-ED

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