ピープロ70’s ヒーロー列伝1 スペクトルマン/成川哲夫


「ピープロ70’s ヒーロー列伝1 スペクトルマン」を買った。著者は蒲生譲二役だった成川哲夫さん。ピー・プロダクション創立40周年記念出版だそうだ。書店で「スペクトルマン」の文字を見つけるや、即ひっ掴んで早足でレジに向かった。

内容は「成川哲夫半生記」「全63話ストーリーガイド」「登場怪獣名鑑」など、「宇宙猿人ゴリ」~「スペクトルマン」の資料としては決定的なもの。子供の頃のいちばんお気に入りのヒーロー番組だっただけに、こりゃあ堪らん万々歳だ、・・といいたいところなのだけれど、いかん! これではちょっと、私的にはマズいのだ。

何しろ「記録」に残ったものよりも、「記憶」に残ったものの方が面白い・・と感じてしまう性分なので、再放送が1度もなくてもう30 年も観たい観たいと思っていたスペクトルマンの、これだけ完璧な資料だけがふいに出てしまうと、読んでしまうのがおそろし気な気がする。実際にもう一度番組を観ることが出来てからならまだしも、これではどうにも尻の座りがよろしくない。

・・そこで、フシメをつける意味で、記憶のみのスペクトルマンのコーナーを作っておきます。いい加減なイラスト入り。


記憶エピソードの1

第1回目の放送では、スペクトルマンは出ていないに等しい。
番組の終わりでやっと空から飛んできたと思ったら、怪獣ヘドロンの吐いたヘドロ攻撃で火だるまになって滑空するスペクトルマン人形、・・これだけ!
ここまで斬新な登場の仕方をしたヒーローは他にいないだろう。

放映5回目あたりまで(もしくは前・後編の番組だったので10 回めくらい? いやそこまで後ではなかったか)、スペクトルマンは巨大化していない。
ミドロン(3匹目の怪獣だったと思う)との戦いで、ネビュラスライスを初披露。
等身大のスペクトルマンが、走りながらミドロンの足を切った(切り落とす、でなく)。

初めの頃は怪獣の出てこない回もあった。
3~6回目くらいだったか、宇宙猿人ラーがとんぼめがねをかけ、トレンチコートを着て変装し、人間社会を探索して回る。
ラーとスペクトルマンの対決は砂丘のような場所だった。スペクトルマンに殴られたラーがコマのようにくるくる回転するシーンがコミカルだった。

ゴミ怪獣ダストマンがゴミを食べるシーンで、立ったまま掃除機のようにブワーッと口でゴミを吸い込むシーンを空想していたのだが(当時、掃除機が珍しかったのかもしれない)、よつんばいになってゴミをかき込む姿を見てちょっとがっかりした覚えがある。

蒲生譲二の顔はまるで覚えていないが、ウルトラの主人公達のようにキマジメなキャラクターでなく、バタ臭くて若干崩れていた(良い意味で)印象が残っている。

ネオヘドロンの回でスペクトルマンが初めてスペクトルカッターを使う(最初はスペクトルバックルと呼んでいた。初めからカッターといっていたのはマンガ版の方)。
蒲生譲二が事務机(公害Gメンの事務所だろう)でプラスチック製のメンコの様なものをいじっていて、何だソレ? と他のGメンに尋ねられる。
「バックルですよ」と、足を組んでニコリと笑う蒲生を格好良いと思った。実際に足を組んでいたか、もう分からないが、残っているこのイメージがウルトラの主役達との違い、といったら私の感じていた空気を察してもらえるだろうか。

蒲生譲二は、茶色い革製の、ベルト付きハーフコートを着ていた。私も中学時代に、革製ではないがほぼ同じ型のを着ていた。最近友達と話したら、あれはカメラマンコートというそうで(私、本職なのに知らなかったよ?)、当時流行っていたのだという。そういえば他にも同じ様なのを着ていた子が何人かいた。

怪獣マウントドラゴン(名前、これで良かったっけ?)の回で、20メートルくらいの張りぼてのマウントドラゴンを大型トレーラーに乗せて、公道を走って撮影。
これはかなり話題になっていたと思う。

「スペクトルマン」の放送は、私の地元大分では本放送より半年程送れてだったと思う。水曜日の夕方6時から。
日曜日が終わると私はいつも~
(あと2日学校に通えば水曜日だ)
水曜日のスペクトルマンが終わると~
(あと3日学校にいけば日曜日だ)
~と考えていた。別に学校がキライなわけではなかったが、それ以上に水曜日と日曜日を楽しみにしていたのだった。1度、虫歯が痛かった時に、「スペクトルマン」の放送中は気が紛れていたのに、終わってから痛みに耐えきれなくなって泣き出してしまった思いでがある。「スフィンクス怪獣の巻」あたりだったろうか・・。

イントロ

1)夜空を飛ぶ、宇宙猿人ゴリの円盤。

2)ゴリのセリフ
 「私は宇宙の独裁者だ。
  私はこの地球が欲しい」
  ゴリ、妙に派手な手ぶりを見せ、手前のボタンを押す。

3)そして怪獣登場。この後、オープニング主題歌スタート。

スペクトルマンのタイトルは、初めは「宇宙猿人ゴリ」、それから「宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン」、「スペクトルマン」と2度変更になっていて、主題歌も途中から変更になった。上のオープニングは「~ゴリ」の時だけだったかも知れない。

内容

IQ 300 の悪の天才科学者、宇宙猿人ゴリ博士が、地球の美しさに惚れ込み支配しようとする。部下には軍人のラー1号。初めのうちは2号も確かいたような気がする・・。
ゴリの作った怪獣を相手に、遊星ネビュラ71より地球防衛の任務を受けてやってきたのは、超能力のサイボーグ、スペクトルマン。

ゴリとラー

マンガ連載は「冒険王」と「少年チャンピオン」で一峰大二が描いていた。
同じ一峰の「黄金バット(こちらは少年キング)」の悪役、ナゾーとマゾーのコンビもいいが、実写の魅力という点で、私にとってはゴリとラーの方がはるかに格上である。ゴリの知的でプライドの高いところと、ラーのおマヌケぶりの対比が面白かったと思う。
少年チャンピオンでは「あばしり一家」で永井豪が”宇宙犬人ブル”と”ドッグ1号”というパロディをやったりしていた。

ゴリ怪獣

ゴリは性格は独裁者だが、美しい地球を自分のものにして、つまらん人間どもに公害で汚させたくないという、独裁者なりの身勝手な美意識はチラホラと見せていたような気もする。
番組開始当初、ゴリ怪獣には ” 公害怪獣 ” と呼称されるものが多かった。
ストーリーが進んでいくとそれ以外のものもたくさん出てきたが、1匹1匹の怪獣には、ちゃんとそれを作った理由が明確にされていた、と思う。
デザイン・キャラクター的に、私の好みのツボにはまる怪獣がとてもたくさんいた。

ヘドロン

hedoron.gif(※イラストは3度のサイト引越しで消えました)

最初の怪獣。ネーミングからして、何の怪獣かは明白。
10週くらい後に、”ネオヘドロン”として復活。ネオヘドロンは「帰ってきたウルトラマン」の”バリケーン”と形状が似通っているが、こちらの方が先。

ネオヘドロン

neo_hedoron.gif

ダストマン

dustman.gif

人間を怪獣にした。ゴミを食べないと死ぬ。初期の「宇宙猿人ゴリ」の代表的な怪獣はこのダストマンと、ネズバードン、モグネチュードンだと思う。

ネズバードン

nezu_birdon.gif

合成怪獣も結構いた。ネズミとトリ。首を切り落とされても再生する。再生のシーンでは、すでに頭が出来ていて単にクビが伸びるだけだったので、残念に思ったのを覚えている。今だとCGのモーフィングでやるだろうが、かえって味気ないか・・。

モグネチュードン

mogunetyu.gif

上に同じ。モグラとナマズ。マグニチュードにかけた名前だが、「ネ」と「チュー」の響きから、私はモグラとネズミだと思い違いしていた時がある。

バクラー

baku.gif

シロアリ怪獣。お腹に寄生虫を飼っていて、それを引っこ抜かれて死んだ。

ギラギンド

giragindo.gif

見た目の印象が強い。他は覚えていない。いや待てよ? アタマがデカい割には、中に脳ミソがつまっておらず、脳ミソ型の宇宙人”ズノウ星人(そのまんま”というのをゴリが捕まえて中に入れようとした話、じゃなかったっけ・・? イラストの、ヨコの髪の毛はなかったかも知れない。左のヒジにドリル、右ヒジからはナイフが出ている。

シルバーロボ

silver_robo.gif

スペクトルマンを殺すために作られた。非常に強い。スペクトルマンが1発しか発射できない”スペクトルフラッシュ”を2発撃てる(シルバーフラッシュ)ので、スペクトルマン、ピンチ。
このイラストは多分、まったく違っています(笑)。

クルマニクラス

kurumani.gif

交通事故怪獣。車にはねられて昏睡状態の子供の想念が怪獣になった。悪い怪獣ではなかったはず。これを捕まえて自分のものにしようとゴリも怪獣を出すが、そちらは憶えていない。そうそう、スペクトルマンは2週続きで1話、の1時間ものの番組だったので怪獣が2体出てくる話が多かった。ウルトラシリーズでも前編、後編ものだとゴージャスな気がしたが、この辺、気に入っていた。
目は信号、肩の模様はタイヤのあと。

カバゴン

kabagon.gif

教育評論家の阿部進を怪獣に改造した。ムーミンみたいだが斬新なデザインだ。

・・これでよし。さてそれでは、心置きなく「ピープロ70’s ヒーロー列伝1 スペクトルマン」を読むことができるぞ。
まあでも、こんな本が出版されるくらいなのだから、まかり間違って話題が盛り上がって「~ スペクトルマン」の再放送がないとも限らない状況ではあるんじゃなかろうか?


『スペクトルマン』

私的オマケ
1999年12月25日(土)追加

「ミニチュアゴリ対スペテンマン/シオちゃん」

「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の初期ウルトラ3部作は、怪獣特撮ヒーローもの好きにとっては欠かす事の出来ないバイブル的な作品群だが、実は私が最も好んでいるヒーロー作品は、ピープロの「宇宙猿人ゴリ/宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン/スペクトルマン」なのだ(以下「スペクトルマン」)。何しろ、小学生の時にクラスのかべ新聞で「宇宙猿人ゴリの孫 ミニチュアゴリ対スペテンマン」というマンガを連載していた程である。

ちなみに”ミニチュアゴリ”というのは何かというと、「スペクトルマン」と同時期の「帰ってきたウルトラマン」に”バルタン星人ジュニア”が登場した折に~
「ジュニアは子供だけど、孫は英語で何というのだろう?」
「子供よりもっと小さいのだから、ミニチュアじゃないか?」
~という、マンガ友達との会話から誕生した。バカだね(笑)。

友達の名前は”シオちゃん”。私と彼と”フサボン”の3人でいつも一緒にマンガを描いていた。フサボンとは今でも遊んでいるが、シオちゃんは埼玉に出ていったきり、もう20年くらいも音信不通だ。高校の時はアマチュア無線をやっていて、その後工業大学に進んだので、案外インターネットなんかやっているんじゃなかろうか。

おーい! シオちゃん。もしなんかの偶然でここを見たりしたなら、声くらいかけてくれよー。あまり帰ってこないので、お袋さんも寂しそうだぜい!

『スペテンマン』

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