必殺するめ固め/つげ義春 カスタムコミック 昭54


昭和59年(1984)の「ロッキング・オン」誌5月号の紹介記事で、「つげ義春日記」とともに知った。さっそく熊本市内の、わりとマイナー本がよく置かれていて以前から目をつけていた書店に探しに行った。

私はこの時23歳の貧乏学生だった。当時はまだ、今のように大型の書店はそう見当たらず、それぞれの小さな書店によって、品揃えにも多少の差があった。目的の店は熊本市内の浄行寺近辺だったと思うが、いまでもまだあるのだろうか・・。「必殺するめ固め」、「つげ義春とぼく」をみつけて買った。「つげ義春日記」は手に入らなかった。
本を買う時に、店のおばちゃん(というにはまだ若い感じの人)から「つげ義春のマンガの、何が好きですか?」と聞かれた。「海辺の叙景…」と、ぼそっと答えた。

この前の年に私は初めてつげ作品に触れており(文庫版「ねじ式」「紅い花」「義男の青春」「懐かしい人」)、つげ義春は私の最も大好きな作家のひとりとなっていた。学生アパートに帰り、さて気合を入れて読むぞ・・その前に、腹が減っては戦にならん、とまず私は、昼飯を先に済ませることにした。

その頃私のアパートに入り浸っていた悪友がいたのだが、そうしたらその彼から、まだ表紙を開いてもいない「必殺するめ固め」と、「つげ義春とぼく」の上に、味噌汁をこぼされ、私は悲鳴を上げてしまった。

今でもこの味噌汁のシミを見るたびに、恨めしい・・。宮崎県日向市の黒木誠二くん、キミの事だよ。

必殺するめ固め/つげ義春
昭和54年 カスタムコミック/昭和56年 単行本化/昭和59年 購入

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