岩戸開き ねんど古事記の3
■「岩戸開き」あらすじ
乱暴な弟のスサノオに呆れたアマテラスが岩戸の中に引きこもってしまい、世界が暗闇に包まれてしまった。アマテラスは太陽神ですからね。
そこで神様たちが考えて、どんちゃん騒ぎをしてアマテラスの気を引き、何かしら? とアマテラスが顔を出したところを引っ張り出して、太陽が戻った・・というお話が、「天の岩戸開き」です。
上の写真は神奈川県三浦市の「海南神社面神楽」といいます。
とても好きなお神楽です。アマテラスのねんど人形はまだ作れていませんので、この項目はお神楽写真でご紹介しましょう。
天の岩戸開きのお話の詳細です。まずは「誓約(うけい)」の場面から。
こちらは大分県庄内神楽の「清白」という舞で、庄内神楽12座中最古参の瓜生田神楽座だけが継承しています。
誓約は、魂の証をたてあう占いのような儀式ですが、なぜアマテラスとスサノオがすることになったか? といいますと〜
三貴子末っ子スサノオは大変な泣き虫で、母の住む根の国(黄泉の国)にいきたいといって、毎日泣き叫ぶのですね。
でもさすがに神様ですから、スサノオが泣くと天地が荒れて甚大な被害がでます。父のイザナキは困り果てて、怒ってスサノオを追放しました。勝手に根の国でもいけと。
スサノオは、根の国へいく前に姉アマテラスが治める高天原に立ち寄り挨拶していこうとするが、そこはまたとても力のある神様ですから、スサノオが近寄るだけで山川が地震のように震えます。
アマテラスは、スサノオが国を奪いに攻めてきたと思い、お前にそんな気持ちがないのなら「誓約」の儀式で潔白を証明しなさい、となった。
「誓約」の内容詳細ははしょりますが、神楽のこの誓約シーン、スサノオの剣と、アマテラスの玉を交換する舞です。
そして疑いが晴れたスサノオは高天原に入った。
ところが〜
高天原でのスサノオは、田んぼに水を引く溝を土で埋め、馬で稲穂を踏み荒らし、神事をする御殿に大便をするわで、乱暴狼藉をはたらく。
アマテラスはスサノオを庇うものの・・
終いには、神御衣(カムミソ)を織っている機織小屋の天井に穴を開け、皮を剥いだまだら馬をそこから投げ入れ、そのはずみで機織の道具が機織女の女陰(ほと)に刺さり、織女は死んでしまう。
アマテラスは嘆き悲しみ、天の岩戸に引きこもる・・。
海南神社面神楽の、演目「勘当場」です。「祭り3年」といいますが、上のシーンが撮りたくて、本当に3年かかりました(笑)。スサノオがいつ機織り女に襲いかかるかわからないし。
天の岩戸神話は、この後アマテラスを引っ張り出してめでたしめでたしですが、この海南神社面神楽では、岩戸にこもる前に、ものすごい場面が観られますのでもう少し詳しく紹介します。
機織女が死んでしまった。茫然とするアマテラス・・。
だが次の瞬間、突然スサノオに襲いかかり、アマテラスはがんがんと殴りつける・・!
なおもスサノオを殴りつけるアマテラス。慌てて止めに入るツクヨミ!
写真右。お前が悪いよと弟を諭すかの様なツクヨミ。
そこになおも襲いかかるアマテラス! また慌てて止めるツクヨミ。こんな場面は記紀神話にないぞ!(笑)。シャッター押しながら、笑いが止められませんでした。
お神楽は日本中にありますが、江戸の里神楽は能や狂言の要素が多分に入っていて、「仮面無言劇」のような、エンターテイメント性の高いものとなっています。お神楽の内容が日本神話の物語であることを、海南神社面神楽のおかげで初めて知りました。
またこの演目で楽しかったのは、アマテラス、ツクヨミ、スサノオの三貴子がそろって演じているところです。
日本神話のヤオヨロズノカミは、名前だけ出てきてエピソードがない神々がとても多いです。ツクヨミも重要な神とされているのに、出番がないのです。たったひとつ日本書紀にツクヨミのお話がありますが、古事記ではそこがスサノオの話になっています。
各地のお神楽でローカルな違いを楽しめるのも、お神楽の魅力のひとつですね。
さて、大分県庄内神楽「戸開き」です。庄内神楽12座のうち、みの草神楽座。
アマテラスの閉じこもった岩屋戸を、力の神タヂカラオが引き開けようとしています。お神楽のその日のクライマックスに舞われる事も多い演目です。
岩戸開きに登場の神々です。こちら6柱の神が、天安河原(あめのやすかわら、宮崎県の高千穂町にあるとされる)に集って、御隠れになったアマテラスを外に出させる相談をしたとされます。
こちらも力の神タヂカラオと、芸能の神アメノウズメを覚えておかれると良いと思います。
アメノウズメは、岩屋戸の奥のアマテラスの興味をひくために神がかりのストリップに近い舞を舞います。これが「お神楽」の始まりとされます。また「お多福」の元といわれます。お正月の福笑い遊びは、アメノウズメに遊んでもらっているのですね。
大分県庄内神楽「柴引き」です。平石神楽座。
天児屋根命(あまのこやねのみこと)が天香具山(あまのかぐやま)の真榊を根こそぎにするという神話の舞
アメノコヤネは藤原氏の祖といわれています。真榊を根こそぎに〜とはどういう場面であるのか、まだまだ勉強が足りなくてわからないことが多いです。「柴引き」は、アメノコヤネと見物客(子供も)とで柴の引っ張りあいこをしたり、客席に乱入したり、とても盛り上がり人気のある演目です。