ねんどの素材解説(1)
今回は、愛用のねんど素材の解説をしてみます。長めですので、数回に分けましょう。
これまでの神話人形や、私の故郷豊後大分の大友宗麟、立花道雪などの写真撮影用ねんど人形は、「モデルマジック」という軽量澱粉ねんどで制作していました。今回新作の「風神タケミナカタ」「雷神タケミカヅチ」では、見た目は割と近いと思えますが、いくつかの「樹脂粘土」を混ぜて、また組み合わせて造型しています。
モデルマジックねんどと「見た目が近い」のが自分的にはかなり重要で、作業のし易さや思い通りの形の作り易さと、出来上がりのマットな質感と表面の奇麗さなど、モデルマジックはとても気に入っているねんどです。このねんどのお陰で、ねんど人形写真を始められたわけですが、完成後は非常に壊れ易い、日本で売っていない(笑)、などの弱点がありました。また、さすがに海外製のねんどだけあって、最近はロットにもよるのか、ねんどの性能が極端に落ちているものもありました。
左)2012年にモデルマジックで制作。古事記編纂1300年「神話博しまね」に4ヶ月展示して頂きました。
右)新作の樹脂粘土製。作風が劇画寄りになってきている現在の人形には似合った、半艶半マットな質感となりました
モデルマジック
ハーティクレイ
モデナ
モデナソフト
グレイスカラー
ダイソー樹脂粘土
ニューパンド
モデルマジックに代わるねんど素材をずっと探してきましたが、どうやら見つかった気がします。
ワークショップ用などのミニねんど人形では昨年暮れから使っていましたが、昨夏頃に発売された100均ショップダイソーの樹脂粘土、これがとても性能が良く、作業感がモデルマジックと似ています。ねんどの「粘り」が非常に強く、これにより、ねんど造型を始める時の最初の基本である「玉」がとても奇麗に作れます。
この「玉」を押したりつまんだり、延ばしたりで形を作っていきます。他の樹脂粘土でもそれなりに玉を作れる事は作れるのですが、ねんどの粘りが少ないとほんの数回やり直しただけで、ひび割れが出てきたりして、以前にテストをして諦めた事があります(※注1)。ダイソー樹脂粘土にも限界はありますが、強い粘りのお陰で気にならないレベルでやり直しが効くのが嬉しいところです(モデルマジックの場合は、かなり乾いてかちかち状態になっても水を加えて練り直せばねんど性能が復活するので、納得がいくまで練習出来ます)。
(※注1)私が作っているタイプのねんど人形造型のみに適した性能について、記述しています。作りたいものの目的によって、選ぶねんども違いますので、その他の樹脂粘土の性能が劣っているというわけではありません。樹脂粘土は元々スイーツデコなどの手芸用ねんどですので、私の使用法はおそらくかなり異端です(スイーツデコも未経験です)。
ダイソー樹脂粘土の使用感がモデルマジックに近いといっても、軽量粘土と樹脂粘土の違いで、作れるものは違います。モデルマジックでは、自分流の写真撮影に都合の良い身長12~18センチサイズの人形を作っていました(工夫次第で30センチサイズの人形も出来ました)が、重い樹脂粘土では自重でねんどが潰れますので、5~7センチサイズの小さめの人形が適しています(ねんどワークショップはこのサイズで開催しています)。
子供ちゃんや、ねんど初心者の方向けのワークショップが、ダイソー樹脂粘土のお陰で開催出来る様になりました。
ワークショップ教材用ミニサイズ人形の造型は~
1)初めての方て゛も40分~90分程度て゛完成出来る
2)ワークショッフ゜時間内にある程度乾燥して固まり、持ち帰りか゛出来る
~を目安に、き゛りき゛りまて゛簡略化したオリシ゛ナルテ゛サ゛イン造型をしています。今夏に大分別府鉄輪温泉で開催させて頂きましたワークショップでは、「高崎山のおサル」、「マリーンパレス水族館のセイウチ」、「地獄温泉の鬼っ子」人形などを小学1年生の子供ちゃんらも完璧に作る事が出来て、喜んでくれました。壊れ易いモデルマジックと違い、乾くと丈夫なプラスチック状になる樹脂粘土なので、持って帰って手元に置いておけるミニ人形を作る事が可能になりました。
大分別府鉄輪温泉夏休みねんどワークショップ用に制作しましたチラシです。クリックで拡大します。
ここまでくると、次はやはり樹脂粘土で大きめの写真撮影用ねんど人形を作れないかと考えます。ダイソー樹脂粘土の強力な「粘り」と「戻り」性能を壊さないまま、他の軽量粘土を混ぜてみます。
(この項目次回に続きます)