国産み ねんど古事記の1
ねんど人形写真と「神楽」の写真で、記紀日本神話を解説します。
2017、2018年に講演させていただいた「大分県と日本神話」の内容を、web向けに改稿しました。講演当時にはまだなかった新作の神話人形が増えましたら、ページも写真も徐々に更新していくことにします。
■はじめに
古事記や日本書記では、「国産み」から始まり神武天皇の東遷に至るまでが、神代の物語「神話」として描かれています。東遷神話のかなり後に「ヤマトタケル神話」もありますが、今回は「神武東遷」でひとくぎりとしましょう。
神代の物語は、初めの「国産み神話」の後は主に前半「出雲神話」、後半「高千穂神話」として伝わっています。かなり大雑把に神話のエピソードを紹介しますが、それでもかなりたくさんの物語がありますね。
前半「出雲神話」と言っても、「岩戸開き」では一旦「高千穂」が舞台となり、続きの「ヤマタノオロチ」で出雲に戻って、「国譲り」から「高千穂神話」へと移行します。
ではまず「国産み」からお話を紹介していきますね。
■「国産み」ねんど古事記の1
「国産み」神話です。この後の「黄泉の国」神話と続きになります。
こちら2柱の神様は(神様は何人ではなく「柱」と数えます)、イザナキとイザナミ。イザナキはイザナ「ギ」でも良いのですが、出雲の古事記編纂1300年「神話博しまね」でお仕事をさせていただいた際、こちら表記でしたので、ここではそれに習います。
そして、このお神楽の写真は、埼玉県の鷲宮神社で撮影しました、「鷲宮催馬楽神楽」の「浮橋」という舞です。
いきなり大分県庄内神楽ではなくて、埼玉ですが、お神楽で「国産み神話」の演目はこれで初めて観ました。
鷲宮催馬楽神楽は、正式名称は「土師一流鷲宮催馬楽神楽」と言い、古代出雲の土師氏がこの地に来て神社を創建し、神楽を伝えたとされます。
昭和51年(1976)に第1回目の国指定重要無形民俗文化財の指定(神楽は全部で35)を受けていまして、江戸の郷神楽の源流でもあります。
「国産み」の舞は、淡路島の伊弉諾神宮で、創生「国生み夜神楽の舞」が毎月奉納されているそうなので、いつか国産み人形を作って写真撮影にいきたいです。
では、「国産み神話」の物語説明です。
「国産み神話」物語の説明です。
世界の始まりは、何もないどろどろとしたあぶくのようなものが漂っているだけだったところに、イザナキとイザナミの夫婦神が日本の国と、八百万の神を生み出すお話です。
イザナキ・イザナミの前にも、神様はいらっしゃるのですが、まずですね、「古事記を学ぼうと思ったら、まず神様の名前を覚えるのを諦める」のが早道ですよ〜と、旧皇族でタレントの竹田恒泰さんがそういわれてますね。
八百万の神というくらいたくさんの神様が登場しますので、覚えるのは無理ですし、物語の面白さにたどり着く前に、挫折してしまいますね。
ここでは(画面を見ながら)
・「造化三神」を含む
・「別天神」という、最初の特別な5神を経て、
・「神代七代」という神が七代現れた七代目が「イザナキ」と「イザナミ」というところだけ記憶していただければと思います。
私も、造化三神の「アメノミナカヌシ」「タカミムスビ」「カミムスビ」の名前しか覚えていません。
土師一流鷲宮催馬楽神楽「浮橋」。正確には、「八洲起源浮橋事之段(やしまきげんうきはしわざのまい)」という長い名前です。
イザナキとイザナミが天浮橋から、下界の何もないあぶくのどろどろを長い鉾でかき混ぜると、鉾から滴った雫が「オノゴロ島」という島になり、そこに「天御柱」を見立て、柱の周りを回って結婚するんですね。
神楽では、お囃子にのってこの橋の周りを舞っています。
「姫島」
大八島の後に続けて産んだとされる6つの島のうち、4番目に産んだ女島(※大分での講演でしたので、大分県の島を説明。実際の講演では、それぞれの島の説明はほぼ省略しています)
淡道之穂之狭別島(あはぢのほのさわけのしま):淡路島
伊予之二名島(いよのふたなのしま):四国
隠伎之三子島(おきのみつごのしま):隠岐島
筑紫島(つくしのしま):九州
伊伎島(いきのしま):壱岐島
津島(つしま):対馬
佐度島(さどのしま):佐渡島
大倭豊秋津島(おほやまととよあきつしま):本州
吉備児島(きびのこじま):児島半島
小豆島(あづきじま):小豆島
大島(おほしま):周防大島(すおうおおしま)
女島(ひめじま):姫島
知訶島(ちかのしま):五島列島
両児島(ふたごのしま):男女群島
国を産んだのでそれぞれの島に「名前」が付いている。姫島は「天一根(アメノヒトツネ)」。
(姫島では「黒曜石」が取れる。同じ国産みで生まれた隠岐島でも黒曜石が取れる。)
「国産み」に続いて、次は「神産み」となります。
「国産み」に続いて、「神産み」です。
イザナミは40柱ほどの神様を産まれます。主だった神様の名だけ紹介しますと〜
オオワタツミ(山幸彦神話に登場)
オオヤマツミ(コノハナサクヤヒメ父)
アメノトリフネ
オオゲツヒメ
ヒノカグツチ
〜などなど、そして〜
火の神様ヒノカグツチが産まれた際、イザナミは火傷を負って死んでしまいます。
金山毘古カナヤマヒコ・カナヤゴヒメ
埴安毘古ハニヤスビコ・ハニヤスビメ
イザナミが亡くなる際、苦しんだ嘔吐や糞尿からも、金鉱の神やねんどの神が産まれます。私のねんど人形は、イザナミのうんちから出来ているのですね。
死んでしまったイザナミと、イザナキのお話は、この後「黄泉の国」神話に続きます。