豊後高田の鬼の石段 不動明王と、熊野の権現さま
コケコッコー コケコッコー
うわあ 朝になった 負けたー!
夜明けまでに百段の石段を積めたなら、お前が村人を食べる事を許そう。だが積めなかったなら、逆にわしがお前を食い殺してやるぞ。・・と権現さまに申し渡されていた赤鬼は、朝を告げる鶏の声を聞いて、百段目の最後の石を担いだまま、大慌てで逃げ出した。ニワトリの声は、権現さまが実は鳴きまねをしたのだった。
夢中で山の中を走り、一里半ほど走ってやっと赤鬼は平地に出た。息が切れて苦しいので、担いでいた石を放ると、石が立ったまま倒れない。そこを立石(速見郡山香町)と呼ぶようになった。
赤鬼はそのまま倒れて息が絶えた。
これを聞いた里人たちは、これで安心して日暮しが出来る。これも権現さまのおかげと、岩に彫んだ大日さまのお加護であると朝夕感謝するようになったという。
大分国東半島の熊野磨崖仏に至る石段には、鬼が築いた石段の伝承物語が残されています。磨崖仏の不動明王を背景に、権現さまに見立ててねんど人形写真で物語場面を描いてみました。
今回のねんど人形写真は、新しく工夫をしています。人形の材料がいつものモデルマジックねんどではなくて、樹脂粘土とハーティクレイを混ぜたものを使いました。樹脂粘土で大きめの人形を作るのは、前回「風呂桶鬼っ子」で13センチ強の大きさに初挑戦しましたが、今度の鬼っ子は16センチ強。この大きさなら、ねんど人形写真の撮影に充分使えます。
造型し易いですが入手し辛いモデルマジックねんどの代替を、ある程度勤めてくれそうな樹脂粘土ですが、固まると軟質プラスティックの様に頑丈になる大きな利点も持っています。お陰でこの写真では、ねんど人形の手を上に上げて、ポーズをつけられました。初の試みです。脆くて壊れ易いモデルマジックねんどはこういうアクションに不向きでしたが、これで写真での絵作りの幅が大きく広がりましたね。
絵柄に合わせて、写真の方もレフ版の光を下から当てる所謂「お化けライト」にし、物語場面の印象を強めて遊んでいます。