ねんどの素材解説2021(4)スタイロフォーム、木粉粘土、マットメディウム、レジンサンドなど


ねんど素材というわけではないですが、ジオラマなど工作の必需品「スタイロフォーム」。

断熱用の建材で、発泡スチロールが固くプラスチック寄りになった感触。ジオラマベースなど大型工作の必需品です。電熱式のスチロールカッターでさくさくと容易にカットできます。ちょっとした人形の土台や、大型人形の芯などに使っています。

このジオラマベースにはこの後、軽量粘土「ハーティクレイ」とダイソー「木粉粘土」を混ぜたねんどを盛り付けて完成させました。


「木粉粘土」・・木の粉を原料に作られた粘土。単体での使用は今のところ思い浮かびませんが、独特の納豆のようなねばりがあり、他の粘土と混ぜると意外と高性能を発揮できた場合があります(後にまた解説します)。

木粉粘土とハーティクレイのどちらも比較的安価な粘土なので(木粉粘土は100円ショップ以外では割と高いです)、大量に使うには助かります。


2012年の古事記1300年「神話博しまね」では、公式マスコットキャラクター「ヤマタノコロチ」を発案デザインし立体化。神話博期間中の常設ワークショップで、子供達が1483匹のコロチを作ってくれました。

前回まで時系列に沿って解説していたら脱線が長くなってきたので、なるべく最低限の前後事情だけですっ飛ばして、素材と技法解説に努めます。


40センチサイズの「ヤマタノコロチ」通称「DEKAコロチ」。さすがにこの大きさだとスタイロフォームを使わないと、ねんどだけで人形作りは難しいです。


切って、削って形を整えたスタイロフォームに、ジオラマベースと同じく「ハーティクレイ」とダイソー「木粉粘土」を混ぜたねんどを盛り付けて、ペーパーがけで表面を滑らかにしていきます。

4本角の部分は「モデルマジック」で。この角の大きさくらいなら、モデルマジックの独壇場です(右下の4匹のコロチは、全てモデルマジック)。


写真に写り込んでいるのは「関東ねんど会(解説1~3参照)」で知り合った、横浜の人形作家さん。作家さんの工房に持ち込んで、ペーパーがけなどお手伝いアルバイトをお願いしました。その節はありがとうございました。また一緒にやりたいですね。


粘土の盛り付けとペーパーがけが終わったら、「アクリル絵の具」を「マットメディウム」で割った塗料で着色。ツノ、目玉、キバ、お腹はモデルマジックで制作。モデルマジック以外の表面のデコボコを完全に解消は出来ませんでしたが、ギリギリまではいけたでしょうか。「盛り・削り」の作業って、本当に苦手です 苦笑。


広告カメラマンとして仕事をしていたら「創意工夫で何とかする」は慣れっこではあります。というものの、このDEKAコロチの「塗り」などはどうすればよいのか(模型、フィギュアの塗りとはまた系統が異なるので)、横浜のいくつかの画材店さん、最後に東急ハンズの店員さんにアドバイスを伺って「メディウム」など初めて扱いました。

おっかなびっくりで塗ってみたらどうやら良い感じで色合いも好みに仕上がって、ホッとしました。


メディウム・・絵の具と混ぜる溶剤。アクリル絵の具は水で割ることも出来るが、メディウムの種類により、つや感や、表面の表現などコントロールできる。カタログなど見るとたくさんの表情があって、楽しいですよ。



海上に剣を逆さに立てて、刃の上に座りオオクニヌシに「国譲り」を迫る、剣の神タケミカヅチ。剣の土台には「スタイロフォーム」を削って、海面に見立てて塗装しました。


「マットメディウム」で割ったアクリル絵の具で青く着色した上に、白い波に見える様、この時は「ホイップねんど」を擦りつけて、その上にマットメディウムを重ね塗りで透明感を出し、仕上げに「レジンサンド」で海のあぶくを演出しています。


マットメディウム・・アクリル絵の具溶剤。艶消し。

ホイップねんど・・どろどろの液体紙粘土。メディウムだと、盛り上げ用の「モデリングペースト」が似ています。

レジンサンド・・細かい砂のようなガラス粒が入っていて、あぶくにはちょうど良かったです。



「黄泉の国」黄泉比良坂 島根県松江市


「ヤマタノオロチ」菅谷たたら 島根県雲南市


「因幡の素兎」白兎海岸 鳥取県鳥取市

「国譲り」稲佐の浜 島根県出雲市


「国引き」薗の長浜 島根県出雲市


「ヤマタノコロチ」天が淵 島根県雲南市

来年で、あれから10年。神話博の時の人形はほとんどリニューアルしているので、早く疫病禍が終わってまた出雲に撮影に伺えますように。

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