海幸彦、山幸彦 ねんど古事記の8
海幸彦と山幸彦のお話です。ホデリとホオリ。
これは、もうかなり昔ばなしとして有名ですので、ご存知の方、たくさんいらっしゃると思いますので、ちょっとまあ触りだけ触れますと、・・兄神の海幸彦の釣り針をなくした山幸彦が、釣り針を海に探しに行くんですけど、竜宮城にたどり着いて針を見つけ、そこの姫をお嫁さんにして帰ってくるというお話ですね。
大分県庄内神楽に「貴剣城」という演目がありまして、これが、ホデリとホオリの兄弟神が釣り針と弓矢を交換する舞と解説されています。
また「貴剣城」で調べてみますと、阿蘇小国の吉原岩戸神楽・・私はまだ見物していないのですが・・こちらには、ホデリとホオリの兄弟神がお供の神々を連れて竜宮城に遊びに行かれる舞、とありました。
2002年に、私、大分を一度出て独立上京する前に、地元の民俗芸能を80件ほど、お神楽も数十件写真撮影しましたが、その時は、実はお神楽の内容が日本の神話の物語であることもよく分かっていませんでした。
江戸の里神楽の場合ですと、能や狂言の要素が混ざっていまして、仮面の無言劇といった性格がありまして。そこで、初めて神話の物語が具体的に掴めてきたりもしました。〜〜
今日はですね、その江戸の里神楽で、あまり知られてはいませんが「海幸彦、山幸彦」の続きの物語「鵜葺草(うがや)」というお神楽を紹介します。
・・竜宮城から戻ったホオリノミコトなんですけれど、・・これ、海南神社面神楽・・お芝居仕立てですね・・〜〜
「もどき」と「おかめ」が、軽妙な掛け合いをした後に〜・・
トヨタマヒメと、ホオリノミコトの結婚式が始まります。
祝言の場面ですね。・・
そして、トヨタマヒメが踊り始めるんですけども・・
・・この、踊りの最中にですね、産気づいてしまいまして・・
・・そして、子供が生まれることになりました。さっそく・・
・・子供を産みますけど、私は竜宮の娘ですので、子供を産む時は「元の姿」に戻ってしまいますから、絶対に覗いてはいけませんよ・・そういう風に言って、トヨタマヒメは産屋に隠れます。・・でも・・
・・これ、覗きそうな顔ですよね。・・
・・そして、見てしまいました。・・
・・すると・・
・・産屋の中から、こんな風に、元の・・
・・元の、この時は、ワニの姿になって、とありますが、古代ではサメのことをワニと呼んでいたようですね。・・
・・で、こういった恐ろしい姿になってトヨタマヒメが出てきました。
そして、ホオリノミコトは驚いて・・ええ、ここは、神話にない場面です、このお神楽独特の・・驚いて、弓矢で射てしまうのですが、それが跳ね返ってきて、自分に刺さって死んでしまいました。・・これは神話にはありません。・・
・・この神話にはありません「返し矢」という場面なんですけどね、ええ、「返し矢」の場面は、さっきお話させてもらいました「国譲り」神話の前半に出てくるのですが、今日は1時間の講演ですので、かなり省略しています。
そして生まれた子供を、モドキとオカメが世話をしてめでたし、めでたしと・・あまりめでたしなお話ではありませんでしたけれど、そういうお話です。
この時の子供が、ウガヤフキアエズノミコトといいます。海幸彦、山幸彦の神話は高千穂神話でして、宮崎県日南市の鵜戸神宮がこの時の産屋の跡と伝えられていますが、実はですね、大分市佐賀関の小黒地区にも、ウガヤ生誕の地と伝わる小さなお宮があります。
・・さてそして、「神武東遷」、最後にここでやっと大分のお話となりますので、もうちょっとだけご清聴くださいね・・。