ジャイアント台風/高森朝雄・辻なおき 昭43~


「ジャイアント馬場誕生」編のエピソードです。
のっけから大スター登場。”金髪の悪魔”ジョニー・バレンタイン。

馬場正平、初のアメリカ遠征。ロサンゼルス、オリンピック・オーデトリアム ~ 対マスクメディックス戦で開眼した必殺16 文キックを引っさげ快進撃を続けるも、”地獄のジェット機”の異名をも持つバレンタインには通じなかった。16文の軸足を払われ、馬場完敗・・!

バレンタイン戦敗北後、ヒルトンホテルの階段をケンケンで駆け上がる馬場の姿があった。バーベル運動、ヘビーバッグの直撃に耐える、そして町を歩く時も、・・馬場は日常生活と練習のすべてを片足でやるようになった。アメリカ遠征の力道山を初めて負かした男=フレッド・アトキンスのコーチの元、目的はいうまでもなく片足で立つバランスの強化だった。

そしてバレンタインとの再戦。前回同様、16文キックに合わせ軸足を払ってきたバレンタインだが、もはやビクともしない馬場。「ノォーッ、ノォーッ」と後ずさるバレンタインを今度こそ16文でとどめを刺し、快勝!

馬場の超巨体に筋金が入った時、日本人を憎むアメリカの観衆さえ、こう叫んだ。
ジャイアント、・・巨人と!

続いて「激闘のニューヨーク」編。”人間発電所”ブルーノ・サンマルチノ登場。

1961年11月。プロレスのひのき舞台ニューヨークへ乗り込んだ馬場。ニューヨークプロレス界を支配する大興行師マクマホン氏の事務所入り口で、えらく体格の逞しい、まずしい身なりの男とすれ違う。後に世界一の怪力男といわれ、”人間発電所”とまで異名をとる、ジャイアント馬場宿命のライバル、ブルーノ・サンマルチノとの、これが初めての出合いであった。

しかしこの時はまだ無名だったサンマルチノとの前座試合をマクマホン氏より命じられ、不満の馬場。ロサンゼルスへ帰る飛行機の手配の電話をかけようとするが、・・そこにマクマホン氏から投げ渡された、真っぷたつに裂けた、ニューヨークの分厚い電話帳!

「ワッハッハハハハ。サンマルチノガ話ヲシナガラ、ホンノイタズラニ、両手デ引キ裂イテイッタノダヨ。ホンノイタズラニネ」
「げえっ!?」

馬場が試合を断るなら、「引き裂かれた電話帳を見て、馬場は無名の新人を恐れて逃げ出した」~と全米にニュースで流す、と自信満々のマクマホン氏。恥をしのんで涙をのんで、馬場は15分1本勝負の前座試合にサインしたのだった。

試合当日。前座の選手として通路を歩む、馬場の心は暗かった。しかし、その時リング上ではサンマルチノの途方もないデモンストレーションが・・!

鉄の鎖を使い、20人もの観客とサンマルチノとの、力比べの綱引き。うなり声とともに、サンマルチノが鎖を引っ張ると、丸ごとぶっこ抜かれて宙を舞い、リングに飛び込んでいく観客達。
ガーン!(←馬場)

「よめた!! おれは新人サンマルチノを売り出すための道具だ! 奇跡の怪力の新人ににくまれ者の日本人を倒させ人気をあおるために・・マクマホンはおれを選んだのだっ!!」

どっこいそうはいかんぜマクマホンさん。それが間違いだったと今に思い知るだろう・・と、新たに闘志を燃やす馬場。一方、じゃれついて体にぶら下がる観客達を、力こぶひとつではねのけ怪力を見せつけるサンマルチノ。…うーん、燃える。この辺、書いていてだんだん燃えてきたぞ!(笑)。

「しかし恐るべきことはその怪力もだが、それ以上にまずしい境遇から花形レスラーにのしあがろうという執念! マクマホン氏の事務所であったあのときのサンマルチノの姿・・。なんの! おれにもアメリカで一人前のレスラーにならなければ日本の土を踏めないという執念がある! 執念くらべだ。負けん、負けんぞ! おれは!」

試合開始のゴング。サッと馬場の手首をつかむサンマルチノ。

「うっ、つかまれただけで腕がしびれるっ!」

「テアーッ!」
馬場を投げ飛ばすサンマルチノ。
「うう、お・・おれの巨体をこれほどはでに宙にとばす男がこの世にいたのか・・」

続いてサンマルチノ、馬場をリフト・アップ。
「ウウッ、コレコソ発電所・・、人間発電所ダッ!!」
「彼コソソノ名ニフサワシイゾ!」
サンマルチノに対する、驚嘆と賞賛の声を上げるニューヨークの観衆。

“人間発電所! 怪力サンマルチノの世界的に有名なニックネームは、じつにこの一瞬、・・すなわち1961年11月14日、わがジャイアント馬場の超巨体をかつぎあげた瞬間に名づけられたのだ・・(作中より)”

5分過ぎ、サンマルチノの必殺ベア・ハッグ、熊のかかえじめが炸裂!
「せ、背骨のきしむ音が・・ううっ、折れるのは時間の問題」
ミリミリ(←馬場の背骨の音)
「折れたら即死! くそっ 日本男児はただでは死なんぞ!」
サンマルチノの頭部にチョップを叩き込む馬場。
・・背骨が折れるか!? 脳天がくだけるか!?

馬場とサンマルチノ、お互いの執念と意地がぶつかり合い、ベア・ハッグ対チョップの体勢のままで、初対決は15分の時間切れ引き分けとなった。

力を使い果たし、フラフラとマットに倒れこんだ両雄。
「ど、どちらか一方が攻撃をあきらめていたら、もう一方の攻撃がいきおいづいて殺人が起こった・・根性くらべだった・・」
「フフフ、気ニイッタゼ日本ノデカイノ。オマエヲ好キニナレソウダ・・」
「おれもだ。ユーの根性にほれた!」

“あわや殺しあいという場面から友情の誕生とは・・しかし男同士、戦う男だけが知る血ぞめの友情にかわりはなかった!(馬場選手の話。作中より)”

戦い終わって、互いの健闘を称え、どちらが先に世界チャンピオンになるか出世くらべを誓いあう2人であった。

ジャイアント台風/高森朝雄・辻なおき 昭43~

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