アゲイン/楳図かずお 少年サンデー 昭45~


「まことちゃん(昭和51(’76)年 ~)」の前身になった作品。これって、連載当時”お笑いマンガ”と気づくまでに相当に時間がかかった。だって、あの怖い楳図マンガの絵柄そのまんまで、オープニングの元太郎じいさんの後ろ姿からして、もうすでに怖かったんだものね。

楳図かずお先生のお笑いマンガはこれ以前に1作だけ、「なかよし」に連載された「ロマンスの薬あげます(単行本化時に「ロマンスの薬」に改題)」があったが、こちらは明らかにほがらかっぽい女学生がたくさん出ていたので警戒せずに済んだ(笑)。というか、「ロマンス~」の時には私もまだ幼稚園児だったので、楳図マンガイコール怖いという認識が無かったかも知れない。

でもこの「アゲイン」は、連載が始まってから少したって、「少年サンデー」の広告ページに”日本中が、笑い!笑い!大笑い”と書かれてあってもまだ、(いやそんな筈はない。絶対に途中で怖くなるに違いない)・・と疑い、びくびくしながら読んでいた。「おろち(昭和44(’69)年~)」みたいな恐ろしいマンガ連載の後に続いて、全く同じ絵でお笑いマンガなどといわれても、当時小学3年生のいたいけな私が信用してなるものか(笑)。

「まことちゃん」は楳図マンガの中でもメジャーな作品なので、知っている人も多いだろう。確か大橋巨泉のクイズダービーで竹下景子も「まことちゃん」のファンだといっていたっけ。

「アゲイン」はそのまことちゃんファミリーの、元太郎おじいさんが主役の話。

「アゲインというのは …… もう一度という意味よ …… もう一度 ……」
女漢方医が研究用に調合した薬、「アゲイン」を間違えて売ってしまう(買っていったのは元太郎のお使いで来たまことちゃん)。元太郎はのどの薬と思い「アゲイン」を飲んだが、・・「アゲイン」とは「若返りの薬」だった。

高校1年生になった65歳の元太郎が巻き起こす、大騒動の数々!
・・とても楽しくて、ちょっぴり哀しいマンガ。お茶の間用に可愛らしくソフィスティケートされた「まことちゃん」よりもこちらの方が私は好きなのだが、何ケ所か修正しないと、現在では再版は難しいかも知れないね。


10月20日。
「アゲイン」全6巻、読了。ラスト近くからの、元太郎ひきいる”男一家”vs 男よりも強い女学生達”女一家 “の、剣道での対決の下りでは、「アゲイン」の薬が切れはじめてもなお必死に頑張る元太郎が切なくて、涙が出てしまったよ。20年ぶりに倉庫の奥から引っぱり出したマンガなので、細かい内容は全く忘れてしまっていたけれど、剣道のお面ごしに覗いた、最後の力を振り絞るしわしわな元太郎の顔のコマだけは、鮮明に覚えていた。「まことちゃん」になってからの元太郎は単なる端役にすぎないけれど、普通に幸せそうで、良かったね。

アゲイン/楳図かずお 少年サンデー 昭45~

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