笑い仮面/楳図かずお 少年画報 昭42


昭和40年代の楳図マンガの中では、比較的恐怖度はやわらかめで、助かった(笑)作品。というより、怪獣ヒーロー大好き少年だった私には、笑い仮面の存在を他のヒーロー作品とある程度同一線上に見ていたようだ。

いや、” アリ人間 ” ススム(メガヌロンのような、ほとんど怪獣)と対峙する笑い仮面の画を見ていると、楳図かずお先生ご自身もその辺のテイストを多少は意識されていたのか知らん。何しろこの前年には少年マガジンで「ウルトラマン」も連載されていたことだし。

でも、読みなおしてみるとやっぱり恐ろしいお話だ。『笑い仮面』とは何なのかというと、能面のような、表情のない笑いを浮かべた鉄仮面を顔に被せられて、そのまま、真っ赤に熱せられた鉄の棒で溶接されてしまうのだ・・。

ジュン ジュ~ン ジューッ
うわぁっ ぎゃーっ
ボタン ボタン

仮面の隙間から、血がぼたんぼたんと流れ落ちて、・・うう怖っ。


昭和15年は、太陽黒点の年。九州の日裏村をはじめ、全国の至る所でアリのような怪物人間が出産される、奇怪な事件が相次いだ。日本軍部は、戦時下の国民の動揺を避けるため、この事件に関係するすべてを秘密のうちに封印する方針をきめた。

天文学者式島博士は、太陽黒点11年周期説に基づき、今から2度目の黒点の年~22年後には異常黒点が発生、地上のほとんどのものは一瞬に焼きつくされる、人類の滅亡を予見。そして、どういうわけか太陽黒点が近づくにつれてアリ人間の出生率が高まる、という事実に辿りついた。軍に捕らえられ、拷問を受け、研究の中止を命じられるも科学者の使命を貫き通そうとする式島博士に、ついに『笑い仮面の刑』が処されることとなった。

時は流れ、昭和36年。九州日裏村のとある屋敷に、村びとから ” 笑い仮面 ” と呼ばれる、気味の悪い仮面を被った男が住み着き、恐ろしい研究をし、怪物を飼っているという噂が流れていた。そして・・。


単行本は昭和59年にサンコミックスから。<シリーズこわい本>5、6 の、全2巻。「笑い仮面」の他、「首」「独眼鬼」「怪獣ギョー」が併録されている。

(※メガヌロン=「空の大怪獣ラドン(東宝/昭和31(’ 56))年」に出てきた、2億年前の生物で、ラドンのエサ。アリ人間ススムが炭坑のボタ山を走り回るシーンがメガヌロンを彷佛させ、怪獣ファンはニンヤリ)

笑い仮面/楳図かずお 昭42

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください